写真・図版
「飯画」の豚の角煮=山田めしがさん提供

 煮汁が光を照り返す豚の角煮、キノコや豆腐が牛肉を引き立たせるすき焼き、ちょっとパリパリになっているところもある焼きそば――。

 「おいしそうな写真!」

 そう思った人を、山田めしがさんは驚かせる。

 「ぜんぶ絵なんです」

 家庭料理を中心に飯(めし)の写実画、名付けて「飯画(めしが)」を100作品ほど描き、ユーチューブやSNSの動画で発信している山田さん。TikTokのパンケーキを描く動画の再生数は、890万回を超えている。

 自宅兼作業場は、和歌山市内の田畑が広がるのどかな場所にある。週4日、総菜店でパートタイムの従業員として働き、メニューの考案から買い出し、調理までを担う。

 金曜日が「飯画」の制作日。もちろん、総菜店での仕事が「良いヒントになる」と笑う。

「好き」が「道」になるまでには

写真・図版
「飯画」のハンバーグ=山田めしがさん提供

 昔から絵を描くのが好きだった。小学2年生の時の学校の授業で、桜の木を色合いや質感にこだわって描くと、先生も友だちも親も「本物みたい」と喜んでくれた。

 この喜びが、リアルな絵を描くようになった原点だ。

 中学では美術部に入り、アニメの背景画の「研究」に夢中になった。「この森の緑色はどう配合するんだろう」と思い、水彩絵の具を何度も掛け合わせて深みのある緑が出せた時は、しびれた。

 「おもしろくてしゃーない」

 高校、専門学校でもデザインを学び、自動車会社に就職できた。配属されたのはデザイン画を立体化する仕事。だが、それが自分がやりたい仕事かどうかがわからなくなり、退職した。

 「旅に出よう」

 1人で乗った沖縄へ向かうフ…

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